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ただ美味しいだけじゃない、高浜ならではのビールがつくりたい!

2020年夏、高浜町で新しいビール『ブルービーチビール』が誕生しました。

高浜の町木杜仲の茶葉を使用した、高浜町らしいクラフトビール。石川県金沢にある金澤ブルナリーさんに製造をお願いし、町のスーパーマーケット・サニーマートで販売されました。ブルーが目をひくパッケージには、海や高浜町の象徴である青葉山が表現されています。

高浜は豊かな自然に恵まれた海のまちです。美しい海を見ながら、美味しい新鮮な魚料理を食べながら、グイッと飲みやすいビールがつくりたい。クセがなく、ゴクゴクと飲みやすく、それでも深みのある味わい。ビールを飲むためにおつまみを食べるのではなく、美味しい食事のお供として飲みたくなるビール。そんな想いを軸にはじまったビールづくりは、試行錯誤の連続でした。

なんといっても、ビール製造は未知の領域。何をどうすれば、どうなるのか?サッパリわからない状態からのスタートです。サニーマート社長の高田明さんが手綱を取り、まずは、連携してくれる金澤ブルナリーさんへ何度も足を運び、視察し、話をして絆を深め、ひとつひとつ知識を増やして、基盤を整えていきました。

そして、細やかなリサーチ。誰にでも美味しいと思ってもらえるビールをつくるために、特に重視したのは女性の意見。実際に金澤ブルナリーさんまで同行し、踏み込んだ意見を述べてくれる女性協力者も集め、多くの人たちからGO!を出されるまで製造をはじめない慎重なスタンスを貫きました。

というのも、ビールづくりは『基本的に簡易な試作ができない』という絶対のルールがあったから。樽をひとつ、まるごと使用してつくるうえに、製造に時間もかかります。ちょっとコップ一杯分お試しでつくって飲んでみよう!なんて都合のいいステップは踏めません。まさに、ぶっつけ本番。失敗は許されない状況で、それでも手探りをつづけ、ビールを完成させなければなりません。

このプレッシャーにはまいったと、高田社長も苦笑い。そのため最初は美味しさだけを第一に考えたそうです。とにかく美味しくなければ、飲みたくならない。それは正論で、絶対の条件。けれど、やっぱりなくしたくないのが高浜らしさだったといいます。試行錯誤を繰り返し、製造スタートに踏み切ったのが「杜仲茶葉をブレンドしたビール」でした。

できあがったビールは、お披露目を兼ね、多くの人に飲んでもらいました。そこで得た意見はうれしいことに「美味しい」が多数。杜仲茶の苦味はちゃんと抜けて、それでも飲んだ後にふっとお茶の香ばしい香りが鼻を抜ける。クセの少ない飲みやすさはクリアした状態で、深みがプラスされたような味わい。シーフードの強い香りにも負けず、またその味を邪魔することもなく、美味しい魚料理のいい相棒となりそうだと、高い評価を得ることができました。

反面、改善すべき点の指摘もチラホラと。それは泡の具合。瓶のままゴクゴクと飲んでもらいたいとのど越しの良さを重視したため、少し炭酸を弱くしたことが原因で、泡があまり立たない。炭酸の弱さ自体も、もう少しガツンときてほしいと意見がありました。

この意見を大切に、必ず今後に生かしていきたいと高田社長。実は、この夏ビールはまだまだ試作段階、第一弾の試みです。今度は冬をイメージし、鍋など寒い季節に食べたくなる魚料理のパートナーとして飲みたくなるビールをつくる予定です。また、期間限定ものとして、高浜産のレモンや甘夏などを使用した柑橘系フレーバーのビールづくりも考えられています。

来年2021年には、高浜町で魚に特化した商業施設「UMIKARA」がオープン予定です。町内外、多くの人たちが高浜の魚の美味しさに触れ、新しい魚食の楽しみ方を知り、海のまちを満喫するための拠点となる、魚と旅するマーケット。そのUMIKARAに訪れる人たちに、魚を食べるときはコレじゃなきゃ!と思ってもらえるよう、自信をもって提供できる完成度に仕上げるまで、まだまだブルービーチビールは進化を続けていきます。